いろぐろ薬剤師ブログ

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意外と知られていない医薬品で副作用被害が起きたときの制度

 医薬品を正しい用法・用量で服用していても、副作用が起きることがあります。重篤な副作用になると生活に支障を及ぼしたり、最悪の場合は死に至ることが少なくありません。そんな怖い怖い副作用が起きた時に絶対知っておきたい制度があります。あまり認知されていない制度です。

 

 

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 副作用について

まず、副作用とは

「薬の使用によって起こる、有害で意図しない作用」です。

 

 薬によって副作用の発現頻度は異なります。もちろん個人差もあり同じ量の薬飲んでもなる人とならない人もいます。代表的な副作用としては、発疹、眠気、吐き気、ふらつき、ふるえ などが挙げられます。

 

 以下、厚労省のデータです。ここ数年は微増していますね。少子高齢化が進んでいるため、高齢者に薬剤を投与する機会が多くなっているからだと考えられます。

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医療用医薬品で何の薬が副作用報告件数多かったかのデータみつけられませんでした。

前職で院内の副作用報告の業務に携わっていました。そこで抗生剤での皮疹が圧倒的に多かったと感じました。

 

一方、薬局で買える薬で副作用報告が多いのは、総合感冒です。手軽に買える薬だから大丈夫だと油断していてはいけません。スティーブンス・ジョンソン症候群など重大な副作用も報告されています。

 

副作用が起きたら

服用して何かおかしいな? と感じたら

医療用医薬品の場合、自己判断で飲み続けたり、中断したりせずに処方元の医療機関に連絡して指示を仰ぎましょう

 

市販薬なら、購入した薬局の薬剤師に相談しましょう。

 

 

 副作用に対する公的な制度

その制度とは……  「医薬品副作用被害救済制度」  です。

 

薬の副作用で入院治療が必要なほどの重篤な被害を受けたら、医療費の実費や生活補償を給付してもらえる制度。

 

ただし、この制度を利用するには薬を正しく使用したときのみ

たとえ正しく使用していても制度の対象とならない場合もあります。 

 

対象とならない場合

  • 法定予防接種を受けたものである場合
  • 適切に使用しなかった場合
  • 抗がん剤免疫抑制剤などの特殊疾病に使用される医薬品による場合
  • 被害が軽微な場合

などです。詳しくはPMDAのサイトでご確認を!

Q4 救済の対象とならない場合とは、どのような場合ですか。 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

 

不給付の約30%が「適切に使用しなかった場合」との報告もあります。ここで強く言いたいのは、他人に出された薬を飲まない、用法・用量を守らず、自己流で内服しない、ことです。

例えば、家族に処方された鎮痛薬を飲んで、入院が必要なほどの被害が起きたとしても全く補償されません。よって迂闊に他人の薬は服用してはいけません。

 

 

給付内容

  • 入院治療が必要とする程度の健康被害で医療を受けた場合

     医療費、医療手当

  • 日常生活が著しく制限される程度の障害がある場合

     障害年金、障害児養育年金

  • 死亡した場合

     遺族年金、遺族一時金、葬祭料

 

上記が定められています。それぞれ請求期間があるので注意してください。

 

まとめ

薬剤には必ず副作用があります。内服する前に添付文書でどういう副作用がどのくらいの頻度で起きるのかも見ておくといいでしょう。

ざっくり説明しましたが、詳しくは「医薬品医療機器総合機構」のサイトでご確認ください。知っておいて損はない制度です。

 

 

当ブログでは基本的に書籍、文献、経験に基づいて記載されています。ブログで投資の内容を記載すると思いますが、投資は自己責任でお願いします。あと薬の使用法は処方医や投薬された薬剤師のいうことをよく聞いて使用して下さいね。