いろぐろ薬剤師ブログ

自分の興味のあることや体験したことを中心に書いていきます

抗生剤飲みすぎでしょ(笑)

 「今回はどうされましたか?」

 

「風邪で薬出してもらいました。」

 

って流れで処方箋を見ると抗生剤(抗菌薬)が出ているのを見ると、毎回ため息がでます。

 

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数多くの調剤をしてきました。思うことは抗生剤出しすぎでしょ。この抗生剤を出す意味ってホントにあるの?と毎回思っております。

 

風邪でとりあえず抗生剤使う っと思っている医師や患者が多いこと多いこと。

「薬剤ワンヘルス動向調査書」ではかぜやインフルエンザに抗生剤が有効だと思っている患者が40パーセントもいるみたいです。

 

はっきり言って間違いです。

 

抗生剤は細菌に対して効果がありますが、ウイルスには効きません。

 

風邪の約90%はウイルスが原因でインフルエンザもウイルスです。

 

そもそもウイルスと細菌は全く違うものです。同じようなものだろうと思っている人が多いと思いますが、全然違います。

 

詳しくはネットで検索してみてください。大きさも仕組みもウイルスと細菌では違いますから。

 

 

で、無意味に抗生剤を飲んでいるとどういう恐ろしいことが起きるかというと

 

腸内細菌のバランスが崩れ下痢になりやすくなります。

 

さらに恐ろしいことが起きます。

 

 それが薬剤耐性菌

 

無意味に抗生剤を飲み続けるとそれに耐性をもった細菌が出現します。本来効くはずの薬が効果がなくなって最悪死に至ることもあります。

 

最近、国際社会においても不適正な抗生剤の使用による薬剤耐性菌の増加が問題になっています。

2013年の年間薬剤耐性による死亡は70万人だそうです。このままいけば、薬剤耐性菌による死亡は2050年までに年1千万人になると予想されています。

 

 

患者がこういう知識がないのは仕方ないですが、処方する医師が抗生剤に無知だと困ります。風邪の症状の10%は細菌が原因ですが、きちんと検査をしてから抗生剤を処方すべきです。

抗生剤投与を考慮する場合は、高熱が3日以上、中耳炎・副鼻腔炎の合併、強い炎症反応などがあります。

 

何の検査もせずに、風邪でとりあえず抗生剤を出す医師が多すぎます。(特に町医者に多いイメージ)

 

抗生剤は限りある資源です。耐性菌ができてしまうと将来使える抗生剤の選択肢が少なくなり適切な治療が受けられなくなります。

 

自分の身は自分で守りましょう。風邪で医師が何の根拠もなさそうに「念のため、とりあえず抗生剤出しておくね」っと言ってきたら断ってもいいんじゃないでしょうか(笑)無駄に下痢や薬剤耐性菌のリスクを高めるだけですから。

医師の方が見ていたらすみません。でも自分は本気でそう思っています。

 

当ブログでは基本的に書籍、文献、経験に基づいて記載されています。ブログで投資の内容を記載すると思いますが、投資は自己責任でお願いします。あと薬の使用法は処方医や投薬された薬剤師のいうことをよく聞いて使用して下さいね。